都市部の河川を見直すエコシップ計画

これまで私は子供の安心を考えるためのキッズデザイン賞や、国産材活用推進のためのウッドデザイン賞の制度設計に携わり、審査委員長を務めたほか、グッドデザイン賞の審査副委員長、フード・アクション・ニッポン・アワードの審査委員長などを務めてきました。

成功している事例には何かしら理由があり、ビジネスモデルがある。賞はその模範を見る場であり、学び合いの場でもあります。こうした活動を通じて、私なりにユニバーサルデザインの概念を広げてきました。

私がRe-Public Initiativeで実現したいことは、ひとことで言うと「街直し」です。こんなにも人工物だけで満たされた街でいいのでしょうか。公園や遊休地をもっと活用し、人々に愛される魅力的な街を作ることが大事なのではないでしょうか。例えば街や施設作りに国産材を活用すれば、日本の中山間地域が救われ、いろいろな面にメリットが生まれます。

中でも、私が最もやりたいのは「エコシップ」を作ること。都市部の河川港を整備して、環境に配慮した電動船を走らせたい。そうすることで、人々の意識が河川に向き、河川の環境を守ることができます。河川港にEVステーションを設置しておけば、電気を常に充電できます。これが都市部の交通システムとして活用されれば、朝夕の電車の通勤ラッシュも緩和され、また街の景観を損ねている川の上の高速道路も必要なくなるかもしれません。浅草や浜離宮、お台場海浜公園を結ぶ、東京都観光汽船の水上バスから変えていくのも一つの方法です。今、ヤマハ発動機と三菱ケミカルホールディングスと交流しながら、計画に向けて動いています。CSVを実行する企業と行政をつなげることが、私をはじめRe-Public Initiativeの役割だと感じています。

環境配慮型新船舶のコンセプトイメージ

                                                                       環境配慮型新船舶のコンセプトイメージ

ほかには「商店街バンク」を作り、地方都市のシャッター通りに店舗を持つ家に賃料を保証しつつ、リベノーションを図るという取り組み。人気の料理店を呼び込むなど集客力のあるテナントを集め、皆で商店街をプロデュースするのです。また、全国の自然科学館にあるプラネタリウムを「マリネタリウム」に変える取り組みも行っています。せっかくドーム型の映像シアターがあるにも関わらず、あまり上手く活用されていないところが多い。だったらテーマを宇宙ではなく深海に変えてみると、もっと面白いことができるのではないかと考えました。深海も真っ暗ですから、宇宙とほぼ同じ。また、母親のお腹の中の「海」をテーマにするのも面白い。つまり既存の施設や土地を利用しながらも、コンテンツを変えるだけで、街を活性化できる可能性はあるのです。

マリネタリウムの映像広告「クジラが星に還る海」

マリネタリウムの映像広告「クジラが星に還る海」

赤池学
株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所所長
社会システムデザインを行うシンクタンクを経営。環境・福祉対応の商品・施設・地域開発を手がけ、( 一社)環境共創イニシアチブ、(一社)CSV開発機構の代表も務める。グッドデザイン賞金賞、JAPAN SHOP SYSTEM AWARD最優秀賞、KU/KAN賞など、数多くの顕彰を受けている。
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