非日常の世界を作る面白さから博覧会プロデューサーに

元々、「日本流通新聞」という物流専門紙の記者をしていました。

その後、住宅関連雑誌の編集や、読売新聞社販売局が販売店とともに販促ツールとして発行した、東京・城南地区のミニコミ紙の編集長を務めることになりました。それは、地域の商店街や企業とタイアップしてクーポンの発行や地域生活文化情報を発信したタブロイド判の週刊紙でした。

その後、イベント企画会社に3年間勤め、新宿住友ビルの年間キャンペーンを広告代理店とともに携わり、PRやSPの手法を体験的に学びました。それがきっかけとなり、「ブレーン80」という会社を起こして独立。博覧会業務や地域振興に携わるようになりました。

PRイベントでは、マスメディアの話題となる季節や時代を先取りしたイベント、新しい仕掛けなどで話題作りをして集客します。プレスリリースや印刷物の作成から現場の運営管理も含めたプロデュースを行いました。そこで来場者が喜んでくれる姿や非日常の世界を作る面白さに惹かれ、イベントの世界にはまっていきました。

私が初めて携わった博覧会は1981年の「︎神戸ポートアイランド博覧会」で、関西電力未来エネルギー館、日本IBM遣唐使館の2つのパビリオンを担当しました。その後「国際伝統工芸博覧会・京都」で広報プロデューサーを、「三陸・海の博覧会」で初めて総合プロデューサーを、「愛・地球博」でチーフプロデューサーを務め、2015年の「上海万博」で日本政府館のプロデューサーを担当。これまでに携わった地方博覧会や国際博覧会は20以上となります。

「愛・地球博」の会場風景。全長2.6㎞の空中回廊で会場内をぐるりと繋いだ

「愛・地球博」の会場風景。全長2.6㎞の空中回廊で会場内をぐるりと繋いだ

博覧会は30〜100ヘクタールほどの敷地を使い、会場計画を行います。それは1つの仮設都市を作るのと同じです。仮説であることから自由度が非常に高く、実験的な空間や建築、街作りができます。そこに人は暮らしていませんが、朝から晩まで1日10〜20万人は来場するため、中堅都市とほぼ同じ規模と言っていいでしょう。

1つ大きな特徴があるとしたら、施設配置や動線などにおいて、来場者の動線を中心に会場作りができること。来場者の移動に合わせたシークエンスや景観を生かし、祝祭的かつ非日常的な演出を行うことができ、移動そのものを楽しめる会場を創り出すことができます。日本は車社会であり、車道が中心となった街作りになっています。この点において、博覧会はヒューマンスケールに基づいた理想的な街作りと言えましょう。

「愛・地球博」の会場風景。会場の中央には「こいの池」を設け、野外イベントを開催した

「愛・地球博」の会場風景。会場の中央には「こいの池」を設け、野外イベントを開催した

博覧会業務が一段落した頃から、Re-Public Initiativeの設立を構想するようになりました。博覧会は仮設の魅力と、先端技術や多様性に溢れた空間、また文化や享楽を生み出しますが、現実社会からは乖離があります。博覧会業務で培ったノウハウを生かして、それを現実の都市に生かしたい。未来のために、そろそろ何かを変えないといけないと思うようになりました。

牧村真史
イベントプロデューサー / 株式会社集客創造研究所所長
博覧会や大型イベント、地域活性化プロジェクトなどの事業企画・プロデュース。三陸海の博覧会(岩手県)総合プロデューサー / 愛知万博チーフプロデューサー / 上海万博日本政府館プロデューサー / 上海世博海外顧問 / 柏崎市シティセールスアドバイザー / 新宿クリエイターズ・フェスタプロデューサー。
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