地方博覧会で培った総合的な視点

私はずっと地方博覧会や地域振興の仕事に携わってきました。

堺屋太一さんと共に博覧会のプロデュースをしていた、北本正孟さんに弟子入りしたことが始まりです。8年間、北本さんの下でいくつもの地方博覧会の仕事に携わり、1993年に独立。1997年から2001年までは福島県の「うつくしま未来博」、2002年から2004年までは「えひめ町並博2004」、2008年から2014年までは「美し国おこし・三重」の企画・プロデュースに携わりました。

博覧会のプロデュースは、公共空間や町を作ることとほぼ同じ。会場を造成して、インフラを整え、パビリオンを建て……と、都市計画さながらの設計を行います。来場者を楽しませるためのイベントや装置を仕込み、事故や迷子などのトラブルにも備えた運営体制を組織し、さらに宣伝広告やチケットの販売プロモーションもします。

うつくしま未来博の「からくり民話茶屋」パビリオン

うつくしま未来博の「からくり民話茶屋」パビリオン

通常、博覧会は終了したら会場を取り壊し、跡形も無く消え去るのが宿命ですが、「うつくしま未来博」を通して、思わぬ無形財産を残すことに気づきました。「からくり民話茶屋」というパビリオンで、当初、からくり(機械)による民話の舞台を計画していました。語り部である90代のお婆さんたちに、暑い時期、毎日会場に来てもらうことは困難というのが理由です。しかしその3年前に民話のライブイベントを開催したところ、来場者の民話に対する反応が大変良かったため、途中からからくりの制作予算を語り部の養成事業に切り替え、語り部養成の講習会を福島県内で展開しました。その甲斐あり、170人の語り部が誕生。その後、彼らを中心に「NPO語りと方言の会」結成へとつながりました。

若手の語り部が会津の民話を語った

若手の語り部が会津の民話を語った

ハードは無くなっても、人々のネットワークや志は残る。この気づきを最大限に応用したのが、「えひめ町並博2004」です。会場を新たに作るのではなく、町そのものを会場とし、住民の「町づくりの活動を観光資源化する」ことをコンセプトとしたのです。地域のために活動している住民同士をつなげ、対話を重ねて、86の体験プログラムを作りました。計画から12年経った今でも、100を超えるプログラム(観光商品)が維持、更新され、愛媛県が定期的にプロモーションイベントを開催しています。それが地域活性化の核になっていると実感します。

宮本倫明
Landa Associates代表取締役 / 日本イベント産業振興協会理事
博覧会などの大型イベント、地域経済活性化プロジェクトの企画・プロデューサー。「海と島の博覧会ひろしま」、「第一回ジャパンエキスポ富山」、「うつくしま未来博」、「美し国おこし・三重」などをプロデュース。「えひめ町並博2004」で「日本イベント大賞」「PRアワードグランプリ」などを受賞。
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