地域のコミュニティーの核となる場所作りを

早稲田大学の私の研究室には、自治体から研究委託が舞い込むことが多々あります。公共空間を活性化するためのアイデアや、地域資源を活用促進するためのアイデアを求められます。それらに対し、実際に研究室の課題として取り組むこともありますが、大学の仕組みでは上手く対応できないこともあります。そこでもっと柔軟に対応できる場を作りたいと常々考えていました。

ある時、私と志を同じくする牧村真史さんから相談を受け、Re-Public Initiativeの立ち上げに至りました。多彩な専門家で構成された、シンクタンク的な場を持つことで、外から気軽に相談に来られるような仕組みを作りました。ある課題が投げ込まれたら、皆で揉んで解決へと導く。そんな場になればいいと思っています。

Re-Public Initiativeで、私が実践したい第1案は「ハイパースクール」。「学校を超えた学校」を作る計画です。地域再生の課題によく上るのが、小学校の廃校利用です。ある地域から小学校が無くなると、集落の活力が急に無くなるという実態を私は見てきました。つまり小学校とは、地域のコミュニティーの核。学校行事は共同体のイベントであり、あらゆる世代の交流の場として受け継がれてきました。台風や地震などの災害時には地域住民の避難所にもなり、一種のハブ施設として働いていたわけです。

新潟県上越市にある、廃校になった月影小学校を改修した「月影の郷」

新潟県上越市にある、廃校になった月影小学校を改修した「月影の郷」

少子高齢化が進む今、中山間地域をはじめ都心でも小学校の統廃合が進み、廃校となる小学校が急速に増えています。そこで学校という場所を再認識してみることが大事なのではないかと思います。ただ広場や公民館があればいいということではなく、自然と地域や地元住民の中心となるような場所が必要なのです。

例えば図書館が学校のような機能を果たすかもしれません。夏は涼しくて冬は暖かい快適な環境で、用が無くても気軽に足を運べる、人々が自由に出入りできる公共空間であることがポイントです。いざとなれば寝泊まりができる設備があれば、万能な場所になるでしょう。お年寄りと若者が世代を超えて交流でき、互いの知識を交換できる場所になれば、学校と呼んでもいいでしょう。それが、私が目指すハイパースクールです。

島根県雲南市にある、廃校になった入間小学校を改修した「入間交流センター」

島根県雲南市にある、廃校になった入間小学校を改修した「入間交流センター」

 

古谷誠章
建築家 / 早稲田大学創造理工学部教授 / NASCA代表 / 日本建築学会副会長
「茅野市民館」日本芸術院賞、建築学会賞、建築家協会賞、グッドデザイン賞、BCS賞、公共建築賞。「小布施町立図書館 まちとしょテラソ」ライブラリー・オブ・ザ・イヤー大賞、図書館教会建築賞、AACA賞。「実践学園中学・高等学校自由学習館」日本建築大賞。「喜多方市庁舎」などプロポーザル当選多数。
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