早稲田大学×Re-Public Initiative共同研究成果報告会

3月23日、早稲田大学理工キャンパスにて早稲田大学×Re-Public Initiative共同研究成果報告会として

「リ・パブリック研究〜都市の新たな公共空間の創出〜」を開催した。

10701998_727560330692557_2985232992361082015_n同キャンパス63号館の教室に90人近くが詰め掛けた。

 

最初に事務局長の牧村真史が開会挨拶をし、Re-Public Initiativeの活動定義を「自治体と企業と地域をつなぎ、これらの活性化を促し、社会作りの提言をする」と改めて述べた。

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次に座長の古谷誠章が「都市の価値を裏返して見る」と題した基調講演を行った。イタリアの「マテーラの洞窟住居」を事例に挙げ、無人になると家や都市空間が急速に荒れることから、「人は都市における血液中のヘモグロビンのようなもの」と述べる。また、1996年に自身が設計した「ハイパー・スパイラル・プロジェクト」を紹介し、都心には縦横無尽に発達する立体的な生活空間が向いていると述べた。

さらに都心における夜間人口、昼間人口、交流人口に分けたボロノイ図を発表し、「都心の空洞化した場所にこそ、新たな可能性がある」と提言。「公共空間とは、人と人とが出会い、人が自ら使途を発見するところ。人に見出されてこそ活用される」と主張した。

続いてメンバーの馬場正尊と宮本倫明、ゲストとして大和リース環境緑化事業部副事業部長の千田文二郎氏が発表を行った。
2015-03-23 19.07.27馬場は「あたらしいパブリックスペースの可能性」と題し、まずは近著「RePublic公共空間のリノベーション」を紹介。今、地域の人口や税収が減り、公共空間の運営が民間へと移るケースが増えている。本書では民間の手による公共空間のユニークなリノベーション事例を取り上げた。

馬場は、不動産と建築デザイン、メディアの3つをつないだプラットフォーム「東京R不動産」に続き、「公共R不動産」を立ち上げた。持て余した公共空間を自治体から募り、借り手や買い手を新たに募集するプラットフォームだ。開設1週間で、自治体からの問い合わせが殺到していると言う。馬場の戦略は「メディアを作ることで話題にする」「火のないところに煙を立てる」である。

2015-03-23 19.34.38宮本は「地域は何を『創成』するのか?」と題し、今、地域が直面する課題を指摘した。防災・災害復興、空き家、獣害、耕作放棄地、増大する医療費、高齢者福祉など…。そこで宮本が提案するのは、「農業出稼ぎ」である。世界各地の食糧難にあえぐ人々を日本に招致し、畑を耕してもらい、収穫した作物の一部を持ち帰ってもらうという試みだ。

こうした地域の課題と、地域の夢(持続可能、自立、協創・ネットワーク)を合わせ、住民同士が互いに助け合える仕組みが必要と提言。そのためには5つのステップが必要である。1、対象となる資源(空間・施設・設備)を設定し、2、事務局機能を設置し、3、ファシリテーターを設定し、4、リ・パブリックミーティングを開催し、5、プロジェクト化すること。「住民のリ・パブリックな意識を引き出すことが重要」と意見を述べた。

2015-03-23 19.51.49千田氏は「官民連携事業の過去・現在・未来」と題し、「公園をどうするか?」をテーマに発表した。まずは大和リースの事業を紹介。同社は、社会の問題を解決する商品やサービスを提供している。日本の不動産金額約2300兆円のうち、国と地方公共団体が所有する不動産金額は現在約470兆円で、国土面積の40.7%に及ぶ。過去・現在の官民連携事業は「決められた場所に、決められた施設を作る」ことが多かったが、未来に向けては「街の価値を高め、人を呼び込み、自治体が生き残りを図るための手伝いをする」ことが重要である。

「産」「官」「学」「地(地域・地元)」が連携するには、それぞれの強みを生かすことが大事。産は柔軟性、官は安定性、学は専門性、地は連携性である。日本には開園から20〜30年経った公園がたくさんある。「公園を生かすも殺すも管理と運営次第。よく整備された公園は、近隣の不動産価値を上げる」と提言した。

2015-03-23 20.14.03最後に、パネルディスカッションを実施。ファシリテーターにメンバーの石川勝が加わり、古谷、馬場、宮本、千田氏が議論を交わした。基軸としたのは、地上1.5メートルのユーザー、15メートルの地域、150メートルの都市計画という3つの視点である。馬場は1.5メートル視点で「公共空間が行政空間になっていないか」と苦言を指す。宮本は「統治と自治は常に揺れ動く。完璧はない」と発言。

また千田氏は15メートルの視点で、日比谷公園を例に挙げ、「公園を運営するにあたり、近隣住民との付き合いは大事。目の前の公園をどうするかは、住民の意識の問題」と発言した。古谷は地上150メートルの視点に触れながらも、「鳥の目だけでなく、虫の目も持つことが大事」と発言。「今あるインフラの中で、新たに作るよりも、現状の空間をどう使うかを考えるべき」と締めた。

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